3-1 アコースティックギターのネックとボディの接続部分、ネックのかかと
アコースティックギターのネックとボディの接続部分をネックのかかとというそうだ。この部分がないと、ボディとネックとの接続部分が簡単に変形する。ボディ側の木に溝を掘り、ネック側もそれにあうように加工し、接続するとか、かかとの部分に溝を掘り、側板の端の部分を差し込むなど、ネックとボディのつなげ方はいろいろあるが、ともかく、かかととボディの内側の木のブロックとはつながっている。あるいはつなげる。つまり、2-0で述べた変形を防ぐために、このかかと部分はとても重要となる。図3-1-Bのような構造で、図3-1-Cのように実際に変形してしまって失敗したことがある。この場合、あとでかかとの部分を作り、外側からだけ貼り合わせて何とかしたことがある。図3-1-Dのようにボディの内側だけにかかとのようなものを作ったこともある。また図3-1-Eのようにスルーネックのようにしたこともある。これはこれで丈夫で変形もなくよかったのだが、アコースティックとしては共鳴の点でよくなく、音量が小さかった。またこのようなスルーネックにするにはサウンドホールを普通に開けることはできない。さらに工夫が必要になる。(図3-1-Bのような構造でも、ネックと表板との接続を少し長くするとかブレイシングを工夫するとか3-2で書くとおり三線の構造を応用するとかで、図3-1-Cのような変形を防ぐことができる。)
3-1-1 付録 ネックとボディの接続 エレキギターの場合
2-1-2 で述べたとおり、ボルトオンネックとセットネックとスルーネックがある。
ボルトオンネックとセットネックは、ボディ部分とネック部分を分けて作り、最後につなげる。ボルトオンはねじ止めである。セットネックは接着剤で止める。スルーネックは長いネック材を用意し、その長くした部分の両サイドに木を張り付け、そこをボディにしてしまう。ネックがボディを貫いている感じである。
3-2 三線の構造とギターへの応用
三線は大きく棹と胴からなる。スルーネック構造である。胴に差し込み、その胴から突き抜けた部分を猿尾というそうだ。その猿尾が弦の端を支える。弦はウマに乗って、胴に張られた皮を振動させる。つまり、弦の力はウマのほかはすべて棹にかかる。つまりアコースティックギターのようにボディを変形させるような力は非常に弱い。つまり、この構造をまねれば、ブレイシングはかなり省略できる。また、表板は共鳴することを中心に考えることができる。こういう点では、アーチトップギターのように、テールピースがある構造にも似る。この構造をうまく利用すれば、新たなギターができる。一五一会風の4弦の弦楽器をこの形で作ってみた。ブレイシングとか、ブリッジのあたりの補強とか、大幅に簡略化できる。しかし大きなボディにしようとすると、いわゆる猿尾に相当する部分までの距離が伸び、ウマというかブリッジ(サドル)へのテンションが弱くなり、弾いていると弦が動いてしまい、うまく演奏できない。そういう点では、ネックとボディの角度とか、ネックの大きさとか、猿尾に相当する部分から馬に相当する部分までの距離とか、いろいろ考えないといけない。これらをうまく考えると、三線の構造は、より作りやすいギターの大きなヒントになる。
以下の写真はすべて猿尾があるタイプのものである。
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