模式図であるが、ナット、サドル、弦は7図1のような関係になる。
チューニングはペグで弦を巻き付けて行う。ということは、ナットと弦との部分の摩擦が大きいと、ナットとペグとの間のテンションが演奏する弦の部分(ナットからサドルまでの弦)と異なりやすくなり、チューニングしにくい。ということは、チューニングという点では、ペグで弦のテンションを変えた時になるべくダイレクトに、抵抗なく、弦全体に反映するのがよい。そういう点では、弦は7図2のほうがよいように思える。でもこれだとすぐに、ナット部分で弦が動いてしまい、ダメである。この図だと、サドル側でも弦が動いてしまう。またビビってしまうこともある。これではナットやサドルにかかるテンションが弱すぎる。つまり、7図2はダメである。一方、7図3では、ペグからナットまでのテンションとナットからサドルまでのテンションで、差が出やすい。つまりチューニングしにくい。なのでよくない。つまり、適度にナットにテンションがかかるのがよい。ナットにかかるテンションは大きすぎても小さすぎてもいけない。私はこの辺のことで今まで自作ギターで数々の失敗をしてしまった。自作するとき、ついつい正面から見た図を考えるが、側面から見た図も考えないと大失敗する。
開放弦は、7図4である。フレットを押さえるとどうなるか。7図5になる。この場合、7図6のAの長さよりもBの長さが長くなる。(ナットからサドルまでを直線で結ぶのと折れ曲がって結ぶのでは、直線で結んだ方が短い。)ということは、その分テンションが大きくなる。すると、単純に同じテンションでAの長さのときと、Bのようにテンションも長さも変わるときでは、音が変わる。どれだけ変わるかは巻き弦とそうでない弦とでも違うし、弦の密度などでも変わる。一般的にはAのときにくらべ、Bのときのほうがテンションが大きくなるため高音になる。ではどうすればいいか?弦長を長くすれば低い音になる。ということで、7図7のように少し弦長が長くなる方向に動かすことになる。これがサドル補正とか、オクターブ補正である。
12フレット目はちょうどスケールの半分になる。つまりオクターブ上がった音になる。この位置でのハーモニクスの音と、押弦しての音とが同じ高さになるようにサドル側を動かすのが、オクターブチューニングである。
1弦側では1.2㎜とか、6弦側では5.6㎜とかである。下の写真でブリッジが斜めになっているのはこのためである。ただし、一般的にはブリッジは真っすぐに貼り付け、ブリッジの溝を斜めに掘る。この写真のようにブリッジそのものを斜めに貼り付けるのは自作ギターならではであろう。自作ギターは、なんでもありである。だって使うのは自分なのだから。自分がそれでよいと思えば、それでいいのだ。
0コメント