以前に作ったギター、ボディ側の弦高が高い。低くしたいが、サドルはこれ以上、低くはできない。これは、ネックとボディを平行に作ったため、また、指板の厚さが普通のため(指板を厚くすると、その分弦高の調節をするための余裕ができる)、このままではどうしようもない。(アコースティックのボディ参照。その中の図2ー1ーC,D,Eあたり参照。)
そこで、ネックとボディの接合を変え、角度をつけることにした。そのために、ネックとボディを切り離すか何かしないといけない。裏ブタをあけ、構造を確認し、いろいろ考える。でもまあ、TRY and ERROR しかないかなあと思う。このギターの場合、24フレットまであり、その直後にコイルのピックアップ、そしてサウンドホール。まず、指板に沿って、ボディを切ると、そのままサウンドホールまでつながっている。まずそこまで切ってみる。その後さらに切り進み、ネックとボディを完全に切り離す。裏板はねじで止めてあるので、こうすることで、完全にボディとネックを切り離すことができる。その後ボディ側、ネック側いろいろと補強しながら、角度をつけてネックとボディを再接合することを考えた。
このギターはもともとネックとボディの接続にはやや失敗していた。ボディのブレイシングの不足、および、ネックとボディの接続がやや簡易すぎ、弦を張ったところ、ボディの変形が激しく、作ってから、ブレイシングをし直し、さらにブレイシングとネックとを補強材を加え、接続しなおしていた。
まず、指板に沿って、のこぎりで切る。ネックとボディをつないでいた、補強部分も切る。指板の両側を切る。とりあえずその段階でさらに次を考える。
当初、さらに切り、完全に切り離す予定だったが、この段階で、つまり補強部分も切った段階で、ボディとネックとの接合はかなり弱くなり、この状態で、ネックとボディとでそれなりに角度をつけられることを確認。そうであればさらに切り進めることはしなくてもいい感じ。当初の予定を変え、この状態で何とかすることを考える。色々考える。最終的には以下のようにすることにした。
指板の横に硬めに木材を張り付ける。そしてそれでボディとネックとに角度をつけた状態で、指板とボディとにしっかりと張り付ける。裏側からも補強する。言葉では説明しにくいが、写真をもとに説明する。
写真1 切る前。加工前。すでにサドルは限界以下の高さ。この状態では、弦に適切なテンションがかかるとは言えない。なのでよくない。
写真2 写真1の時の弦高。やや演奏しにくい。今回は、これを何とかしたいと考えた。
写真3 加工前の状態。切る前の状態。このネックに沿って、ボデイをサウンドホールまでのこぎりで切る。ピックアップは加工時の邪魔になるので、外す。
写真4 加工前の状態。切る前の状態。ピックアップはまだついている。
写真5 ピックアップを外し、指板に沿って、のこぎりで切った。
写真6 のこぎりで切った部分がわかるように窓からの光を当ててみる。ピックアップを乗せる部分は切らない。右側はまだ補強部分は切っていない。これから切るところ。
写真7 指板に張り付け、ボデイを斜め下に押さえつける部分を作る。斜めにしないといけないので、完全に切り落とす前に斜めになる加工をしているところ。のこぎりやすりは便利。2つ同じように加工するのは大変だが、こうするとやや楽に加工できる。
写真8 貼り付ける前に角の部分とかはやすりで削っておく。ぴったりになるように、丁寧に合わせながら、面や角を加工。
写真9 接着剤をつける部分の塗装は丁寧に紙やすりで削っておく。これをしないと強度が出ない。指板の側面ももちろん同じように塗装を削っている。のこぎりで切った部分もしっかりと見える。のこぎりの線に続く鉛筆の線は、当初ここも切ろうと思って引いた線。でも切らずに何とかなった。サウンドホールの奥の方にのこぎりの歯が少し当たってしまった跡がある。ちょっと残念。
写真10 このような加工で最も重要なのは、しっかりときちんと固定できるかどうか。固定がしっかりしないと、話にならない。何よりも固定が大切。2面を接着するためには2方向からの固定が必要。しかも2つ一緒になので、見た目以上に大変。これは固定できるかどうか試行錯誤している状態。これで何とかなりそうなので、このように固定することにし、接着剤をつける。
写真11 接着剤をつけ固定している。その裏側。裏側からの補強材も一緒に接着している。(表側が一段落してから、実際には1時間ほどしてからさらに裏側の補強材を接着剤で固定した。) 写真の緑色のC型クランプで固定されているのは、補強材。これでブレイシングと切った部分のボデイ本体とがしっかりとつながることになる。写真の赤い柄のF型クランプの下材は、F型クランプでうまく固定するために高さをだすために一時的に使っている補助材。これには接着剤はついていない。
写真12 補強材をつけ、さらにピックアップも元に戻したところ。ピックアップをつける部分にかかる今回取り付けた部分はピックアップに合わせ削ってある。補強材の厚さがサウンドホール側の方が厚くなっている。指板の高さとピッタリになるようにしている。
写真12 裏側。補強材もしっかりついている。
写真13 サドルも作り直した。写真1と比べると大きく変化したことがわかる。
写真14 弦高もいい感じになった。写真2と比較すると分かる。でも、24フレットまであると、弦をはじくあたりがどうしてもそのあたりになるので、右手側の演奏性はいまいちになるなあ。ピックアップの位置も寄ってしまうし。でも今回のこぎりで切るにあたっては、サウンドホールまでつながっていたので、加工はしやすかったけど。この写真では、今回取り付けた補助材の厚さがサウンドホール側に向かって厚くなるのがわかる。その分、ネックとボデイとの間の角度が付いたことになる。のこぎりで切ることを決めた時、とってもドキドキしたけれど、なかなかうまくいった。
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