13.材料
13-1 木材
趣味で、ギターを作ろうとする場合、2種類の方向性があるように感じる。A:できるだけ市販のギターのようなギターを作りたい、という方向性。B:オリジナルなギターを作りたいという方向性。
Aの場合、それなりに作れる技術があると自分で思えば、材料にも凝るだろう。確かに木材の種類で音が異なる部分がある。アコースティックは特にその影響は大きいだろう。基本的に楽器はすべてその材料で音が異なるだろう。ただ、それを聞いてすぐにわかるか、わからないかもあるとは思う。エレキは木材よりもピックアップの影響のほうが大きいだろう。相対的には、アコースティックのほうが木材の影響は大きいだろう。ただ、素人が作る場合、その道のプロに比べれば当たり前だが、技術は劣る。道具も劣る。いい材料を使っても、同じ材料をプロが使えばおそらくもっといい音になるだろう。でも、いい材料で手間暇かけて自分なりのものを作るのは大きな喜びだ。趣味とはそういうものだから。
Bの場合、特に何か新しいこと・珍しいことをやってみようと思う場合、それは試作だ。まずは、どんなもんかなあ、という感じで、とりあえず形を作る。この場合は、少なくともはじめは、材料にはこだわらなくてもいいだろう。その結果がよければ、次に材料を変えてみるのがいいだろう。
Aの場合とBの場合では、手に入れて使う材料は大きく異なる。
Aの場合、ギター用の材が欲しくなる。今であれば、通販であれば、StewMacとか、ギターワークスとか、aimokuとか。私は以前に東京、新木場の「もくもく」まで買いに行ったりもした。東急ハンズも利用した。ギター用の材については、いろんな人がいろいろ書いているので、ここでは触れない。また、いい材なので、一般的に高い。
Bの場合は、身近なホームセンターでほぼ十分だ。私の場合は、こちらの傾向が強い。最近はもっぱらこちらである。ただ、部分的に、以前モクモクで買った材も、使える部分では使う。ここで書きたいのは、Bの場合の材についてである。
Bの場合、ホームセンターで、一般的に売っている材料を使う。
ボディ材:アコースティックならば、2.3mmとか、2.5mmの厚さのベニヤ板。厚いと共鳴の点で劣る。薄いほうがいい。1枚1枚丁寧に見て、なるべく均一な感じのものを探す。さらに軽くポンポンと叩いてみて、張りのある、いい音のするものを探す。かなり板ごとに個体差があるので、いい加減に選んではいけない。エレキの場合。厚さがないといけないので、探すのが大変。厚い1枚板は結構値段が高い。また大きさの点でも、使えそうなものは結構なかったりする。ともかくホームセンター内を歩き回り、使えそうなものを探す。ラワン材とか、各種の集成材など。棚板とかも。あるいは、ラワン材を自分で張り合わせるとかも考える。厚い合板でもできなくはないと思うが、私は使ったことがない。ラワン材をうまく張り合わせるのが、値段の点では最もリーズナブルな気がする。貼り合わせるのもそれほど大変でもない。
ネック材:ラワン材。これは本当に吟味して買う。同じ材で、同じ値段でも全く異なる。柾目を買う。板目は買わない。節みたいなのがあるのは買わない。断面ではAのようなものを買う。BやCは買わない。また、Dみたいなのがよい。EやFは買わない。でもAでなおかつDみたいなものはなかなかないものだ。その場合、ネックの長さの部分だけは何とかとれるかどうかを確認する。使わない部分は多少求める形でなくても我慢するしかない。ソプラノウクレレでは、ファルカタの集成材を使ったこともあった。弦のテンションが弱いと何とかなった。
補強材:どこの補強をするかでいろいろ異なる。ボディの側板と表板、裏板との角の部分には、ヒノキの工作材、5mm×10mm×900mmとかを使った。また、100均で、10mm×10mm×900mmくらいの桐材があり、それを使ったこともあった。ブレイシングは5mm×20mm×900mmとか、5mm×30mm×900mmとか、10mm×20mm×900mmとかのヒノキ工作材を使ったりした。これらは実際に材を見ながら、こんくらいかなあ、という感じで決めている。
アコースティックの場合、ブリッジ裏の補強材は堅いものがよい。なるべく堅く、3mm程度の厚さがよい。この材はブリッジピンを支える。また、弦のボールエンドが引っかかる。つまり弦のテンションが直接的にかかる部分になる。さらにブリッジの裏ということはサドル・ブリッジを支え、サドルを通じての弦の振動が直接的にかかる場所でもある。そういうことから、強度、堅さが必要である。私は以前新木場の「もくもく」で買った、3mmくらいの厚さの赤っぽい堅い木を使っている。何の木かはわからない。ホームセンターにあるものだといろいろ工夫しないといけないだろう。アルミの板を利用できるかもしれない。ステンレスの板を利用できるかもしれない。アルミL字アングルも使えるかもしれない。どのような材料をどのように使うのか、は素人の手作りのもっとも創造的で、楽しい部分のひとつでもある。ぜひいろいろ考えてもらいたい。また、音の変化もあるだろう。それもまた楽しみだ。ステンレスやアルミを使う場合、弦が切れないように、丁寧なやすり掛けは必須だろう。また金属と木材との接着に接着剤として何を使うかも、工夫のしどころだろう。樫の床材を以前にもらったことがあり、それを薄くして使ったりもした。東急ハンズでいろいろな木を買ったこともある。黒檀とかのはがきなども売っていたことがあって、大きさの点でも使い勝手がよかった。
ブリッジ:堅めの木を使う。黒檀とか樫とか。チークを使ったこともある。大きめに作ればラワンでもなんとかなるかな?樫の床材も使った。
指板:黒檀などがよいが手に入りにくいし高い。ラワンでもなんとかなる。アガチスでもなんとかなる。チークでもなんとかなる。
ナット・サドル:樫で何とかなる。名前のわからない、「もくもく」で買った赤っぽい木も使える。
13-2 木材以外
13-2-1 フレット
フレットワイヤーは何とか買うしかないだろう。私はStewMacでポンド単位で買ったものを使っている。
13-2-2 サドル・ナット
堅いプラスチックでもなんとかなる。硬い木でもなんとかなる。アルミ板を使ったこともある。工夫次第である。
13-2-3 ペグ、チューニングマシン
これは買う。StewMacとか、ギターワークスとか。キクタニは安い。さらに中国製はもっと安いものもある。今はネットで探し、中国製を使ったりもする。中国製は、今のところ普通に使えるものもあるが、ちょっとびっくりするほど低品質であることもある。外れることもあるが、大体は、十分使える。
13-2-4 ブリッジ
アコーステック用でもエレキ用でも今は木で作ってしまうことが多い。が、昔はそういうこともわからず、エレキ用は買うものと思っていた。しっかりしたものを買うと確かに便利である部分もある。でも、多くの場合、アールがついているため、ネックにもアールをつける加工をせざるをえなかったりもする。まあ、いいやということでアールをつけなくても何とかはなるが。三線の構造を参考にして、ブリッジというか、三線風に「ウマ」というか、そのウマのように全く固定しないのも結構便利である。オクターブチューニングなんて簡単である。ブリッジの接着のときに細心の注意を払わなくてもよい。接着しないのだから。
13-2-5 ほか
三線構造の場合のテールピースに相当する部分は、工夫次第。なんでもあり。アルミのL字アングルはいろいろな部分に工夫次第で使える。今まで、ナットとかサドル(というかウマというかブリッジというか)とか、テールピースとか、で実際に使った。
コイルのピックアップを自作する人もいるようだが、私は、今までジャンク品などを買って何とかしてきた。200円とか300円とか500円とか。でもなかなか手に入らない。
ピエゾのピックアップは圧電素子(圧電スピーカー)を貼り付けるだけで何とかなる。配線は自分ですればいい。
ネット上で探せば比較的安く、サドル下のピエゾピックアップとプレアンプ・イコライザー・チューナー、出力端子・電池ボックスのセットが手に入る。チューナー付きは便利だ。出力が手軽にできるのもいい。
ストラップピンやエンドピンは安ければ手に入れてもいいが、ヒートンなどで十分だと思っている。
素人の趣味であるからこそ、自由な発想で、なんでも使えそうなものを使ってみる、というのは、楽しいものだ。
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