12.道具の使い方のコツ(その2)


Homeに戻る

12-2 固定の大切さ

のこぎりにしろ、接着にしろ、穴あけにしろ、本当に固定が大切である。固定なくしては、正確な作業はできない。のこぎりで切る場合、左手で押さえたうえで右手で切るのが普通だ。ただ切るだけならば、これでも切ることはできる。が、この場合、まっすぐに、垂直に切るのはとてもむづかしい。しっかりと固定してないと、ギター作りのいろいろな場面で。固定は必須である。ルーターを使う時も、固定は重要である。

しっかりした作業台が望ましい。私が、ギターを作ってみようと思ったきっかけは、100均でF型クランプを見つけたからである。思わずその店にあるF型クランプすべてを買ってしまった。C型のクランプも使うが、F型のほうが使いやすい。懐の深いC型クランプはギター作りには必須である。表板でのブレイシングの固定などでは、サウンドホールを使っての懐の深いC型クランプがないと作業できない。頑丈な洗濯ばさみのようなクランプも使う。また表板や裏板の固定には、普通はあまり見ないようなクランプも使う。工夫次第では、自作もできる。また私は、荷造り用の平べったいひもを使ったりする。固定はアイデアでもある。ギター作り写真(Instagram)の写真の多くは固定である。

点線のところでのこぎりで切りたい。2か所固定するとしたら、どこを固定するのがよいか。例えばCとDではどうか。これは良くない。近すぎる。CとDで仮に固定したとしても、例えばAの部分に力がかかると、すぐ動いてしまう。てこの原理を考えるとよい。つまりより安定して固定するためには、固定する2か所は離れた場所のほうがよい。ではEを手で押さえていた場合、ちょっと間違うと手を切ってしまうのでよくないのだろうか。そうではない。固定の場所と、作業で力のかかる場所が離れるほど、より弱い力で固定が揺らいでしまう。つまり、作業する場所が安定することが固定の目的なのだから、なるべく作業場所に近いほうがいい。もちろん手をケガしない程度ではあるが。電動工具の場合、怖いといって、作業場所からとても離れた場所を押さえる場合があるが、これはとても危ない。電動工具で強い力がかかった場合押さえきれない。けがなどをしないように細心の注意は必要であるが、固定の基本は作業場所のそばである。とはいっても、刃の進行方向とかキックバックの方向とかに手を置いては絶対にいけない(キックバック:チェーンソーや電動丸鋸などで、作業方向とは逆方向に大きな反動が起こること)。それらの方向は避けつつも、作業場所のなるべく近くを固定するのがよい。また手での固定は実際的に不安定であるので、丁寧な作業のときは必ずクランプなどの工具での固定を行う。この場合、工具の大きさを考えないと、いけない。作業方向にクランプがあると結局は作業できない。工具を動かす範囲にはクランプなどがあってはいけない。

固定の基本:作業場所の近くを固定する。なるべく離れた2点を固定する。図の場合、可能ならば、AとEがよい。(いろいろな理由で不可能な場合もある。)2点以上で固定する方がもちろんよい。特に長いものは、図のAとEでは、変形してしまうこともある。その場合、Dとかも固定するのがよい。あるいは、作業にかかる力を押さえるのにDとEで充分ならば、また、AとEでは変形してしまうようなものであるならば、AとEよりもDとEのほうがよい場合もある。


12-3 ドライバー

12-3-1 押さえ方

当たり前だが、しっかりと押さえないといけない。押さえが甘いと、ねじの頭をなめてしまう。ともかく、しっかりと押さえる。またしっかりとあったドライバーを使う。慣れないとやや小さめを選んでしまいがちである。大きいほうからねじにあててみて、回るものを使うのがいいだろう。ねじを抜く時、ついつい押さえが弱くなってしまいがちである。ことに緩め始めるときは、かなりしっかりと押さえないといけない。緩めるということはねじが上に上がってくる。だからなんとなく押さえが弱くなってしまう。上に上がるのに対し、力は逆にかけるから。でも、しっかりと押さえないといけない。

押さえる向き、力を入れる向きは当たり前だが、ねじの真っすぐの方向である。斜めではいけない。ねじの頭をなめてしまい、ねじがばかになってしまう。またドライバーの先端もなめてしまい、ばかになっていく。

図1のAは良い。B,Cは駄目である。斜めのねじにはその斜めの方向にまっすぐに力を加える。Dのようにする。

12-3-2 長さ

ドライバーの大きさは大きいと小回りが利かない。狭い場所で使いにくい。なので短めのほうがいいと思う人もいるが、これはとても大きな間違いである。ねじを回すとき、どうしても多少ずれる。図2で、A、B、Cともにずれは同じである。しかし、ねじに当たる角度は違ってしまう。A'、B'、C'と見ていただければわかると思う。短いドライバーほど角度は大きくなってしまう。長いドライバーほど、角度は小さくて済む。なので、長いドライバーのほうが、力をまっすぐに伝えやすい。短いドライバーのほうが、ねじの頭をなめやすくなる。なので、ドライバーは長い方がいい。もちろん、場所が狭くて不可能な場合は、短いドライバーを使わざるを得ないが、そのような制約がないかぎり、ドライバーは長い方がよい。

自作ギターなど手作り大好きキホーテの部屋

自作ギター、手作りウクレレ、電子回路、ミキサー、Arduinoを使った時計、木工などいろいろ、作ったり、直したり。道具の使い方も。ギター作りなど、手作り大好きキホーテの発想と失敗と反省と教訓と喜びなどの記録。